
火災保険を契約するにあたり、「火災保険で補償される雹(ひょう)災・雪災・風災は必要だろうか?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
火災保険では、雹災・雪災・風災で損害を受けた建物や家財に対して補償されます。
しかし、補償範囲はどこまで対象になるのでしょうか。
この記事では、雹災・雪災・風災の具体的な損害の例や火災保険で受けられる補償範囲を徹底解説しています。
火災保険を申請する場合の注意点もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
雹(ひょう)災・雪災・風災とは
火災保険で補償される「雹(ひょう)災・雪災・風災」とは、具体的にどのような災害なのでしょうか。
それぞれ詳しくご紹介します。
雹(ひょう)災とは
雹(ひょう)災とは、空から降ってきた雹により建物や家財に受けた損害のことです。
そもそも雹とは、積乱雲から発生する氷の塊で、直径5㎜以上あるものを指します。
中には大きさがゴルフボールから野球ボール程度の大きさのものが降ってくることも。
直径5㎝の雹となると、空からの落下速度は時速100㎞を超えるため窓ガラスが割れたり、屋根が破損することも十分考えられます。
降雹は北海道、東北、北関東の内陸部、日本海側でよく見られます。
降りやすい時期は内陸部で5~7月ですが、日本海側では冬時期でも積乱雲が発達するため、降雹も冬期に集中します。
雹の発生は地域差が大きく、西日本ではほとんど見られません。
雪災とは
雪災とは、豪雪においてのしかかる重みや落下による事故、または雪崩のことを指します。
雪の重みで変形したカーポートの修理や、近くの山で発生した雪崩に巻き込まれた建物や家財などが補償対象です。
融雪水による漏入や凍結、除雪作業で発生した事故は除かれます。
つまり、雪が原因で発生した事故は全て対象になるとは限らないということです。
例えば、雪解け水が原因で床上浸水が発生した場合は「水災補償」が適応されます。
風災とは
風災とは、暴風や竜巻・台風などが原因で発生した損害のことです。
屋根が吹き飛ばされたり、飛んできた物で窓ガラスやベランダが破損したりといった風災によって受けた被害は火災保険を申請できます。
窓ガラスの破損した場所から雨水が吹き込み、床や家財に影響が発生したケースも同様です。
家財には自転車や125cc以下の原動機付自転車も対象となるため、突風にあおられて転倒した際の修理費用も支払われます。
雹(ひょう)災・雪災・風災は火災保険でどこまで補償される?
雹(ひょう)災・雪災・風災で被害を受けた建物や家財は火災保険の補償対象です。
しかし、実際にはどこまでが補償範囲になるのでしょうか。
雹(ひょう)災・雪災・風災で保障される「建物」の補償範囲
火災保険で補償される「建物」の範囲は、建物本体はもちろん、敷地内にある塀や門、物置なども対象です。
室内に設置されている浴槽やキッチンの調理台、エアコンといった建物に付属されて動かせないものも建物として扱われます。
ただし、保険会社によって範囲が異なるケースもありますので申込時に必ず確認しましょう。
雹(ひょう)災・雪災・風災で保障される「家財」の補償範囲
火災保険で補償される家財とは、室内の家具や電化製品、食器といった生活動産を指します。
貴金属や宝石・骨董・書画なども、1個(1組)の価格が規定額を超える場合も補償の対象です。
これも補償範囲?火災保険で補償される建物・家財の具体例
自然災害で実際に損害を受け、いざ火災保険を申請しようにも「これは補償対象になるの?」と迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
ここからは、火災保険で被害を受けた場合に補償OK・NGの具体例をご紹介します。
太陽光パネル 〇
太陽光パネルは屋根と同様、基本的に「建物」として補償されます。
ただし、建物と太陽光パネルの所有者が異なる場合、家財と見なす保険会社もあるため事前に確認しておきましょう。
また、建物を購入後に太陽光パネルを後付けした場合、建物評価額が変わるため基本的に火災保険の見直しをおすすめします。
太陽光パネルは決して安いものではありません。
太陽光パネルも含めた建物評価額に合わせて保険金額を設定していないと、全損した時に保険金ではまかないきれない可能性も。
被害を受ける前に保険会社へ相談して見直しておきましょう。
雨樋 〇
自然災害が原因で雨樋が歪んだり破損したりといった場合も、「建物」として火災保険の補償対象です。
ただし、経年劣化による損害と見なされた場合、保険金がおりない可能性も。
判断が難しい場合は、信頼できる修理業者に調査を依頼すると安心です。
カーポート 〇
雹(ひょう)災や雪災、風災で被害を受けたカーポートも火災保険の補償対象です。
台風や強風で屋根が飛んだり倒れたりといった自然災害のみ適応されます。
カーポートだけでなく、ガレージも同様です。
雪の重みでシャッターが閉まらなくなったりといったケースもあります。
車 ×
所有する車が自然災害で損害を受けた場合は、火災保険ではなく車両保険が適用されます。
車両保険に加入していれば、台風や雹(ひょう)、大雪で受けた損害も補償対象です。
ただし、地震・津波・噴火による被害は対象外ですので、心配な方は特約を付けるのもおすすめ。
車両保険に加入していない人は、交通事故だけでなく自然災害でも利用できることを考慮して検討すると良いでしょう。
雹(ひょう)災・雪災・風災で火災保険を申請する時の注意点
契約内容の範囲外は補償されない
火災保険に加入しているからといって、自然災害で受けた損害を全て補償されるわけではありません。
契約内容に含まれる災害が原因で受けた損害分にのみ保険金が支払われます。
節約のために雹(ひょう)災・雪災・風災を除外していた場合、補償は受けられないということです。
火災保険の契約内容には、「建物」「家財」「建物及び家財」の3つから選択できます。
例えば、窓ガラスが突風で破損し、吹き込んだ雨で床やテレビが故障したとします。
「建物」のみ補償とした場合、申請できるのは窓ガラスの破損部分のみです。
一方、「家財」のみを補償範囲としていれば、床やテレビの修繕・修理にのみ保険金が支払われます。
窓ガラスと床・テレビの両方が補償されるのは「建物及び家財」で契約しているケースのみです。
台風の影響が多い地域や降雪、降雹が心配される場所に住んでいる人は、一度火災保険の契約内容を見直しましょう。
損害が発生して3年未満でないと請求できない
自然災害により損害を受けた分を火災保険で請求できるの期間は、発生から3年未満です。
それ以降は被害原因が特定できないため時効となってしまいます。
火災保険は、修繕した後でも請求できますので損害を受けたら直ちに保険会社へ連絡しましょう。
ただし、修繕後の請求時には必要な書類があります。
・被害の程度が分かるような修理前の証拠写真
・修理時の見積書や請求書
・罹災証明書(保険会社によって異なる)
免責金額に注意
火災保険の契約時に設定した免責金額を超えていないと、保険金を請求するメリットはありません。
免責金額とは、契約者が「この金額までだったら支払える」と設定した自己負担額のことを指します。
例えば、窓ガラスの修繕費用が10万円だった場合、免責金額が0円であれば、保険金は10万円が支払われます。
一方、免責金額を10万円と設定していた場合、保険金は支払われず修繕費用は全額自己負担です。
免責金が設定される理由は、少額の損害分に対応する保険会社の負担を減らす目的があります。
些細な金額を保険会社が支払わないことでコストが抑えられ、保険料の負担を抑えられるといった仕組みです。
まとめ
火災保険で補償される雹(ひょう)災・雪災・風災は、自然災害が原因の損害であれば保険金が支払われます。
補償されるのは「建物」と「家財」です。
契約内容に沿って補償されるため、契約の範囲外の損害は補償されません。
損害を受けてから3年が経過したものや、免責金額を超えない少額のものなど、保険金が支払われないケースもあります。
雹(ひょう)災・雪災・風災が起こる可能性がある地域にお住まいの人は、ぜひこの記事を参考に火災保険の見直しを検討してみてください。