
火災保険に加入したが、あまり内容を把握しておらず、後になって「実はあの損害も補償対象だった」と知る方も多いのではないでしょうか。
この記事では、火災保険の補償範囲や補償範囲でないケース、火災保険加入時の注意点について詳しく解説しています。
火災保険の補償対象をあらかじめ把握しておくことで、実際に被害を受けた時にも慌てずに対応できます。
火災保険の補償範囲
火災保険の補償は、火災や自然災害による損害を対象とした保険です。
具体的にはどのようなケースが挙げられるのでしょうか。
火災や落雷、破裂、爆発
タバコの不始末やたき火の消し忘れ、放火などの火災や落雷による損害で火災保険が利用できます。
他にも、ガス漏れによる爆発やスプレー缶の破裂による家財への損害、揚げ物の際に燃え上がった際に焦げてしまったキッチンの壁などの張替えも対象です。
近隣で発生した火災が原因で自宅が延焼した際の損害や、消火活動で水浸しになった家財にも適応されます。
風災
台風や竜巻で屋根瓦が飛ばされたり、暴風でカーポートが飛ばされたりといった、風災で起きた損害も火災保険の対象範囲です。
風災によって窓ガラスが破損し、室内に吹き込んだ雨水で傷んだ床や家具も保険金で補償できます。
水災
大雨や洪水による床上浸水や、高潮、土砂災害といった水災も火災保険で補償されます。
日本では最近話題にはなりませんが、雪解け水で川が氾濫するといった融雪洪水が原因の床上浸水も該当します。
床上浸水の基準は、居住として使える部分の床を超える浸水、または地盤面より45㎝以上を超える浸水からが対象です。
また、再調達原価の30%以上の損害を受けた場合に限ります。
再調達原価とは、損害を受けた建物や家財を建築又は新調した際と同等の金額のことを指します。
保険会社によって「新価」「再取得価額」「保険価額」など表現が異なります。
雪災、雹(ひょう)災
雪の重みで屋根が変形したり、近くの山で起きた雪崩に巻き込まれて建物に出た損害も、火災保険の補償範囲です。
5月~7月初旬に北海道や日本海側に見られる雹(ひょう)が降り、直径5㎝以上のものが窓ガラスに当たって割れるといった被害も該当します。
雪第三者による窃盗
悪意のある第三者が建物に侵入し、盗まれた家財や高額な貴金属等も火災保険で請求できます。
侵入する際に窓ガラスを割られたり、物を壊されたりといった破損も補償されます。
自動車の窃盗は対象外ですが、保険の対象となる建物の敷地内に停めていた原動機付自転車や自転車は対象に含まれます。
不測かつ突発的な破損
予測していなかった建物や家財への破損も火災保険が適用されます。
ただし、あくまで壊れて使えなくなり、修復不可能の状態のもののみが対象となります。
擦り傷など、外観上の損傷や汚損は対象外です。
以下のような場合は火災保険が適用される可能性があります。
- 模様替えの際に机を壁にぶつけて穴が開いてしまった
- お子さんが室内でボール遊びをしていてテレビの液晶が割れてしまった
建物と家財
火災保険の補償は、契約時に「建物」と「家財」、もしくは「建物と家財」のいずれかを選択します。
建物と家財の具体的な内容をご紹介します。
- 畳や床材、内壁
- 窓、ドア、戸、障子や襖といった建具
- 建物に備え付けられた設備(通信、ガス、電気、給排水、冷暖房設備、太陽光パネル、エレベーター等)
- ガス台や調理台、流し、浴槽、棚など建物に直接付加してある設備
- 塀や門、垣、車庫や物置などの付属建物
- 家具、家電製品
- 日用品や家庭用の食器
- 絵画、骨董品、貴金属等
- 自転車、原動機付自転車(125㏄以下)
火災保険の補償範囲ではないもの
では、火災保険の補償範囲でないものはどういったケースが挙げられるのでしょうか。
一見、火災保険で請求できそうなケースであったとしても、対象外とされている事項もあるため、あらかじめ確認する必要があります。
経年劣化
元々劣化していたものから発生した損害は補償されません。
日常生活による劣化など、自然に消耗したものからの損害は火災保険は適用されません。
- 元々修理が必要だった屋根から雨漏りが発生した
- うっかり開けっ放しにしていた窓から雨が吹き込んでしまった
地震による破損
地震が原因によって発生した災害は地震保険が適用されます。
地震によって発生した火災や津波、噴火などで受けた損害は、地震保険で保険料を請求します。
火災保険は補償の対象外です。地震保険のほとんどは火災保険とセットで契約する仕組みになっています。
まだ地震保険に加入していない方は、現在契約している火災保険の保険会社に相談しましょう。
契約内容外
契約内容以外は補償されません。
火災保険契約時、補償範囲を「建物」「家財」「建物と家財両方」から選択します。
火災保険として補償される内容であったとしても、契約していない内容であった場合は請求できません。
また、火災保険として補償されないと明記された対象物もあります。
補償対象外と明記されているもの
補償対象外と明記されているものも補償補対象外となります
よくあるものとしては以下のようなものがあげられます。
- 通貨、有価証券、小切手、預貯金証書、印紙、切手、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、乗車券など
- 自動車及び付属品
- 動物や植物といった生物
- データ、ソフトウェア、プログラム等の無体物
- 商品や製品、業務用の設備や什器
火災保険の必要性
「居住地域は自然災害なんて滅多に起きないし、必要ないのでは」「節約して、他のことにお金を使いたい」と、火災保険の必要性に疑問を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本は世界に占める面積の割合は0.28%と小さな島国でありながら、地形やプレート、気象の関係から海外に比べ火山活動や地震など自然災害が活発です。
アジアモンスーン地域に位置していることから、梅雨や台風によって集中豪雨も頻回に発生します。
近年発生した台風や大地震を教訓にして、自然災害に備えて水や食料などをあらかじめ準備する世帯も増えています。
自然災害はいつどこで起きてもおかしくありません。
災害対策の一つとして、火災保険に加入することは大切な家族との生活を守る大きな手段となっています。
また、警察庁のデータによると、令和2年度の一般住宅を対象とした窃盗被害は2万1,030件、1日あたり58件発生しています。
(引用元:データで見る侵入犯罪の脅威‐警察庁)
いざ窃盗の被害にあっても、火災保険に加入していないと盗まれた貴重品だけでなく、壊された窓ガラスやドアなども自分たちで負担しなければなりません。
防犯対策はもちろん必要ですが、万が一巻き込まれた際のために備えておくこともとても重要です。
火災保険加入時の注意点
複数の保険会社を比較してライフスタイルに合った内容で選ぶ
火災保険の加入の際は、なるべく複数の保険会社を比較してライフスタイルに合った内容で選ぶようにしましょう。
火災保険の補償内容は、保険会社によって様々です。
高い金額のものを設定していれば安心、というわけでもありません。
複数の保険会社の補償プランを比較して、自分に合うプランを探してみましょう。
マンションや戸建て、居住地域の災害状況といったライフスタイルと照らし合わせて選ぶことで、火災保険を広く活用できます。
損害額が免責金額に達していないと保険料が支払われない
免責金額とは、「ここまでだったら支払える」と設定する契約者側の自己負担額です。
少額で火災保険の手続きを行うと保険会社の負担が大きくなるため、免責金額を設けることで保険料を安くするといった仕組みです。
免責金額は0円~20万円程度設定されます。損害額が免責金額を超えないと保険金を請求できませんので注意が必要です。
また、不測による破損や汚損のみ利用する場合、免責0円で設定していても5千円~3万円の自己負担額を設定している保険会社もありますので必ず確認しましょう。
高額な貴金属が窃盗被害に遭っても補償されない可能性がある
高額な貴金属等を所持している場合、事前に保険契約申込書等で申請しておく必要があります。
侵入者によって高額品を盗まれたとしても、被害を受けた貴金属等の合計が1,000万円を超える場合、申請された対象物でないと補償されません。
高額な貴金属等とは、貴金属、宝石ならびに宝玉、骨董、彫刻物、書画やその他美術品で1個または1組の時価が30万円以上の価値があるものを指します。
また、保険会社によって貴金属等の盗難時における補償限度額が定められています。
個人用火災総合保険『THE すまいの保険』:貴金属等の盗難…1回の事故につき1個または1組ごとに限度額100万円(契約時の希望で300万~1,000万円で選択可)
または貴金属等の保険金額のいずれか低い額
まとめ
火災保険は、火災や多くの自然災害で補償されます。
自然豊かな日本はその分災害も多く発生しており、いつ自分たちの身に危険が起きるかわかりません。
万が一の時に少しでも安心できるよう、火災保険で補償される内容を確認し、常に備えておくことが大切です。
火災保険に加入することは、大切な家族と安心して暮らせる日常を守ることに繋がります。