
保険料を算出する上で重要となるのが、構造級別となるもの。
しかし、ご自宅の構造タイプを知らない方も意外と多いのではないでしょうか。
今回は、T構造・H構造・M構造と呼ばれる構造級別について解説していきます。
3つの構造級別について
このように構造区分により保険料が変わってきます。当然、耐火性能が高いほど保険料は安くなります。
火災や災害が発生したときの損害金額にに差が生じてくるからです。
それでは順に構造級別について、解説していきます。
T構造とは?
T構造とは、耐火(Taika)の頭文字を取って名付けられたもので、耐火構造を意味します。コンクリートや鉄筋など燃えにくい材質で建築されているため、耐火性が高く、火事になっても最低45分は燃えないなど、火災に強いのが特徴です。
②一戸建てで柱がコンクリート、レンガ、石、鉄骨で造られているもの
③一戸建てで耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火物に該当するもの
木造建築でも外壁の開口部の延焼のおそれのある部分に防火戸を有するなどの耐火構造をとっていれば、準耐火建築物と認定され、T構造に分類されます。
また基準として火災が終了するまで耐えきることなども設けられています。
第二条九の二 耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。(1) 耐火構造であること。(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
H構造とは?
H構造とは、非耐火(Hi-taika)の頭文字を取って名付けられたもので、非耐火構造を意味します。文字通り、火に耐えられる構造をもっていないため、基本的に木造住宅のように燃えやすく、火災に弱いのが特徴です。木造建築で特に火災対策が施されていない建物は、H構造に該当します。
②T構造、M構造に該当しないもの
H構造は火事になった際、近隣周辺に燃え移る火災になると被害が大きくなるため、保険料も高くなる傾向にあります。
M構造とは?
M構造とは、マンション(Manshion)の頭文字を取って名付けられたもので、マンション構造を意味します。主にマンションやアパートなどの共同住宅で、かつ耐火性の高いものが該当します。つまりは、T構造と同じコンクリート造建物やレンガ造建物の中で、共同住宅はM構造になります。
②共同住宅耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火物に該当するもの
一般的な火災保険では、M構造は耐火性が高いため、保険料が安くなる傾向にあります。
構造級別の火災保険料について
これまで述べてきたように、家の構造・耐火性能によって火災のリスクや損害は変化します。そのため、保険金額にも違いが生じるのです。
T構造の方が保険料を抑えられる!
やはり耐火性能が高いT構造は火災保険料料が抑えられる一方で、耐火性能が低いH構造は火災保険料が高くなってしまいます。
保険料 | T社 | M社 | S社 |
T構造 | 10.5万円 | 13.4万円 | 19.9万円 |
H構造 | 19.3万円 | 24.7万円 | 33.2万円 |
※所在地:東京/保険金額:一戸建て2000万円/保険期間:10年で算出
上表のように、ある試算例では約10万円ほどの火災保険料の違いが生じています。他のある試算例では、35年間長期一括払いだと約60万円の違いが生じるというデータも出ています。
木造建築でもT構造がおすすめ!
あたたかい感じがするという理由から、「コンクリートや鉄筋よりは、木造が良い」方々は一定数いることでしょう。
そのような方は是非木造住宅を建築していただいても構いません。ただ耐火性能を持つものにすることをおすすめします。
もう木造住宅のほとんどはH構造に該当してしまうため、T構造などよりも保険料が高くなってしまいます。
ただ木造住宅の中でも耐火建築物や省令準耐火住宅になどにすることでT構造に該当させることができ、火災保険料を抑えることができるからです。
さらに火災の被害も広がりにくくなるので、やらない手はないでしょう。
省令準耐火構造とは、建築基準法で定めた基準以外の住宅で潤沢支援機構が定めた以下の内容に適合する住宅のことを指します。
第一条ロ 準耐火構造の住宅(建築基準法第二条第九号の二イに掲げる基準に適合する住宅以外の住宅で、次のいずれかに該当するものをいう。)であること。(1) 建築基準法第二条第九号の三イ又はロのいずれかに該当する住宅(2) 次に掲げる耐火性能を有する構造の住宅に該当する住宅(i) 外壁及び軒裏が、建築基準法第二条第八号に規定する防火構造であること。(ii) 屋根が、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百三十六条の二の二各号に掲げる技術的基準に適合するものであること。(iii) 天井及び壁の室内に面する部分が、通常の火災時の加熱に十五分間以上耐える性能を有するものであること。(iv) (i)から(iii)までに定めるもののほか、住宅の各部分が、防火上支障のない構造であること。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
T構造、H構造、M構造といった構造級別によって、火災保険料が変動することはお分かりいただけた思います。
T構造とH構造では、火災保険料を抑えられるのはT構造。
またH構造の住宅でも、条件を満たせば火災保険加入時にT構造の分類を受けることができます。
建物の構造分類を理解し、後悔のないマイホームを手に入れて下さい。