
皆さんこんにちは!
今回のテーマはアパートやマンションなどの賃貸物件と火災保険についてです。
火災保険は、一般的に自分が所有している建物が被害を受けたときに備えて加入する保険であることが知られています。
しかし、自分で建物を所有していないのにアパートやマンションを借りる賃貸契約時に火災保険に入るように言われ疑問に思った経験はありませんか?
保険って種類が多くて、補償内容も対象も複雑なので訳も分からないまま入っている人もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事では
「賃貸だけど火災保険に入る必要ってあるの?」
「不動産会社が提案する火災保険に入るように言われたけど、このまま加入して大丈夫?」
「賃貸なんだから、火災保険に入っても意味ないんじゃないの?」
といったような疑問を持っている方のために、賃貸物件と火災保険について徹底的に解説します!
目次
賃貸物件に火災保険って必要?
そもそも賃貸物件に住んでいる場合、本当に火災保険に入る必要があるのでしょうか。
不動産会社に言われたままに入っている方は、無駄なお金を払い続けてはいないでしょうか。
まずはそういった疑問を解消するために、火災保険とはどういうものなのかというところからお話ししましょう。
火災保険とは
皆さんは火災保険について正しく理解できていますか?
保険の内容って複雑で難しいことが多く、あまり理解しないまま契約していることもあるのではないでしょうか。
そもそもの知識が間違っていると、いざという時に補償を有効に受けられない事にもつながりますし、自分に見合った入り方ができているのか見直すことがより難しくなってしまいます。
改めて、火災保険とはどういった内容の保険なのか一緒に見ていきましょう。
火災保険とは損害保険の一種であり、火災のみならず多くの自然災害などによって建物や家財に被害が生じた際に補償を受けることができる保険のことです。
具体的には、以下のような被害に対応しています。
●落雷
●風災、雹(ひょう)災、雪災
●盗難
●爆発(カセットコンロの爆発など)
●水災(大雨による洪水など)
●物体の落下、飛来、衝突(外部から車にぶつかられた場合や、落下物によって瓦が損傷した場合など)
●騒擾(そうじょう)(騒ぎに乗じて破壊活動が行われた場合など)
●水濡れ(漏水等を原因とする家財や建物の被害)
火災保険の対象
さて、そんな火災保険ですが、保険の対象は2種類に分けられています。
保険の対象というのは、被害を受けたとき補償が受けられる対象のことで、火災保険では「建物」と「家財」に分けられています。
火災保険に入る際に「建物」のみ、「家財」のみ、「建物」+「家財」の3パターンの中から自分に合ったものを自由に選ぶことができます。
それでは、具体的に2種類それぞれの定義について見ていきます。
「建物」とは、自分が所有している建物自体の他に、その建物がある敷地全体に存在するもの全てを指しています。例えば家の外にある車庫や塀など、自分が所有している建物の敷地内にあって”自由に動かすことの出来ない”ものと言い換えることもできます。
「家財」とは、建物の中にあって”自由に動かすことの出来る”もの全般を指します。自分が所有している家具や家電、衣類や細かい文房具など多くのものが当てはまります。ただし建物に備え付けで”自由に動かすことの出来ない”家具や家電などは「建物」の扱いになるので注意しましょう。
賃貸に火災保険は必要なのか?
では、賃貸契約の際に火災保険が必要なのかというお話に戻りましょう。
勘の良い方はもうお分かりかもしれませんが、賃貸物件を借りるときには「家財」の火災保険に入る必要があります。
これまでもお話している通り、「建物」の火災保険については自分の所有している物件に対して加入するものなので、この「建物」に入るのは借主である大家さんです。
しかし、大家さんはあなたの「家財」までは補償することができないので、「家財」については自分で加入して被害に備える必要があります。
また、賃貸契約時に不動産会社が勧めてくるものは「家財」だけでなくその他にも大事な補償が付いたものが多く、それに加入しないと賃貸契約自体を断られてしまうのでほとんどの場合絶対に必要な火災保険に入らなければなりません。
それでは次に、賃貸契約時に必要な火災保険の大事な補償ってどういったものなのかを詳しく解説していきます。
賃貸を借りるのに大事な3つの補償
賃貸契約の際に入る火災保険には、目的別で3つの大事な補償が付いています。
前項でお話しした「家財」以外にも、これらすべてが揃っている保険に加入することが基本です。
具体的にどんなものがあって、どんな時に必要なのかを見ていきましょう!
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「家財」の火災保険
まずは「家財」を対象とした火災保険です。
これは自分を守るための保険ということができます。
火災や水害などで自宅が被害を受けた場合、建物に関しては大家さんが入っているので補償されますが、自分が持っている家財については大家さんが補償してくれるわけではありません。
大きな家具や電化製品は、特にこだわりを持って高級なものを買っていなくても総額が大きく、かなりの損失になってしまいます。
普段からしっかりと家財への被害にも備えて自分を守っておくことが大事です。
また、自分や自然災害などが理由ではなく、例えば隣家から出火した火によって自分の家が二次的に被害を被った場合にも重要です。
日本では、自分の家から出火したことを原因として隣家に燃え移ったとしても、故意(わざと)や重大な過失(明らかに防げたミス)でなければ損害賠償の責任を負わなくていいという法律があります。
この「失火責任法」は明治32年に制定された民法第709条で、昔から家が連なっており火災で一度に何軒も被害が出てしまうことの多い日本ならではの法律となっています。
この法律により、隣家に対しては損害賠償をしなくてもよいということになっていますが、逆に言うと隣家からもらい火によって被害を被ったとしても誰にも損害賠償を請求できないということになります。
自分のせいではないのに、家財が被害に遭って補償も受けられないなんてとても辛いですよね。
そんな万が一の時の為に自分を守るという意味でも、「家財」の火災保険に入っておく必要があるんです。
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借家人賠償責任保険
これは、物件を貸してくれている大家さんのために入る保険です。
賃貸契約の際には、退去の際に元の状態に戻して去るという「原状回復義務」が生じます。
大家さんに対してこの「原状回復義務」が果たせないと判断されてしまうと損害賠償責任が生じ、場合によっては多額の賠償金を請求されることになります。
例えば、ストーブの火の消し忘れで壁を一部焼損させてしまったときや、水を大量にこぼしてしまいフローリングを汚損させてしまったときなど、火災保険の対象とする事故に関係するものであれば保険金が支払われます。
ただしこれらのような事故以外、例えば故意に壁を殴って穴を開けてしまったとき、子どもが遊んでいてフローリングを損傷させてしまったとき等は保険金が下りませんので注意してください。
3
個人賠償責任保険
最後は、自分のせいで被害に遭った他人のために入る保険です。
賃貸物件でのトラブルでいえば、自分の家で生じた漏水が原因で下の階の家に雨漏りしてしまい、その家の家財に被害が出てしまったときにその損害賠償額を補償してくれます。
また、この保険は家でのトラブルだけではなく、外で自転車事故を起こして損害賠償を求められた時にも適用されます。
これに入っていれば、加入者と同居の家族が加害者になったときでも補償の対象になるため、子どもが学校で他の子にけがをさせてしまった場合にも備えることができます。
人に対して傷害を負わせてしまうと多額の損害賠償を求められることがありますので、最大1億くらいの補償が出るようなプランに入っておくと良いでしょう。
私たちが安心して日常生活を送っていくために必要不可欠な保険ですよね。
賃貸契約時に自分の好きな火災保険を選べる?
ここまで、火災保険がどいう言ったものなのか、賃貸契約の際に必要な火災保険についてお分かりいただけたでしょうか。
詳しく中身が分かってくると、
「だったら、借家人賠償責任保険だけ入りたい。他は同じようなのに既に入ってるよ。」
「色々調べたけど、不動産会社から提案されるのじゃなくて、こっちの保険会社のプランに入りたい。」
と思っている方もいるのではないでしょうか。
そこで最後に、賃貸契約の際の火災保険について、自分で自由にプランを変更したり会社を変えたりできるのかといったことについてお話します。
「プランを絞って入りたい。」はできる?
前項でお話しした3つの補償の中で、既に同じようなものに入っていたり自分には必要ないからといったりした理由でプランを絞りたいと思う方もいますよね。
しかし、残念ながら現状では3つの補償すべてセットになった火災保険に入ることが基本原則となっています。
別に同じような保険に入っている場合は、既に入っている方の見直しをすることをおすすめします。
別に入っている可能性を考慮せず不動産会社に言われるままに契約してしまうと、保険の重複に気づかず払いすぎてしまうのもよくあるケースです。
非常時に備えるのは大事ですが、不必要な出費をしないよう気を付けることも大事なので契約や更新の度に見直してみましょう。
「自分で調べた賃貸用の火災保険に入りたい」はできる?
今度は、全部の補償が付いたものには入るけど、不動産会社に提案されたものじゃなくて自分調べた方が良かったからこっちに入りたい!というパターンです。
結論から言うと、自分で選んだ火災保険に入ることは可能です!
ただし、不動産会社や大家さんにしっかりと確認した上で、保険の内容が大家さんの定めた条件に合致している必要があります。
不動産会社によっては、提案しているものでないとダメだと言われることもありますし、大家さんが納得しない保険に入らないと物件を借りることができません。
勝手に判断するのではなく、きちんと確認を取ったうえで行いましょう。
不動産会社によっては、特定の保険代理店と契約をしていて、一般的な値段よりも割高な保険を進められる場合があります。
言われたままに考えず契約するのではなく、一旦持ち帰って冷静に比較検討するのも大事です。
ただし不動産会社の提案する保険であれば、保険を見つける手間や契約の複雑さから解放されることができますし、大家さんにわざわざ確認を取る手間も省けるのでどちらも善し悪しがあることを理解しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、アパートやマンションなどの賃貸物件と火災保険についてお話ししました。
火災保険について、大家さんが入っている部分と自分が入る必要のある部分、そしてその選び方も含めて分かっていただけたでしょうか。
普段何のトラブルもなければ一番いいのですが、そういった日常を不安なく過ごすためにも必要となってくる保険のお話でした。
自分でしっかりと理解し、賢く選んで正しく万が一の時に備えておきましょう。