
皆さんは火災保険の加入期間に保険金をもらわなかった人は、どの位いると思いますか?
正解は85%です。
大多数の人は一度も保険金をもらうことなく、保険料を支払い続けています。
せっかく保険料を納めているのに非常にもったいないですよね。
この記事では、「保険料を支払い続けているのは損だな...」「でも、もしもの時にお金が下りないのは怖い...」
と感じている人のために、知っていれば得することができる「免責金額」についてご説明します。
目次
火災保険における免責とは?
「免責金額」の前にまずは火災保険における「免責」を説明していきます。
ではどのような場合に火災保険は「免責」となるのでしょうか?
- 保険契約者が保険金をもらうためにわざと家に火をつけた(保険契約者・被保険者の故意)
- 天ぷら油が入った鍋に火をかけたままその場を離れて火事となった(保険契約者・被保険者の重過失)
- 建物の老朽化によって屋根が破損した(経年劣化による損害)
火災保険の免責金額とは?
じゃあ、免責金額って保険会社が支払う必要のないお金ってこと?
免責金額とは保険会社が免責される金額のことで、自己負担をしなければならないお金のことです。
火災保険における「免責金額」とは、保険金が受け取れるような事故が起きた時でも、契約者が自己負担する金額のことです。
設定した免責金額以内での損害の場合は保険金が支払われず、契約者自身が負担することになります。
しかし、保険とはそもそも「万が一の時に備えて保険料を支払い続け、事故や損害を受けて手に負えないお金が必要となった時に保険会社からの保険金で助けてもらう」という制度なのに、なぜ自己負担をする必要があるのでしょうか?
具体例を上げましょう。
火災保険によっては、不測かつ突発的に家財(ドアやガラスなど)を壊してしまった場合でも保険の対象としています。
しかし、1万円以下の軽微な損害を全て保険会社が対応していれば、手間もかかるし人件費もかかってしまいます。
なので、一定の免責金額を設けて保険加入者に自己負担してもらうことは保険会社にとってメリットがあります。
このような理由から、保険加入者が免責金額を設定できる制度を作っています。
免責金額が高いほど保険料が安くなる!?
ここまで保険会社における免責金額を設けるメリットを説明しましたが、保険に加入する側にとってもメリットがあります。
免責金額を高く設定して契約すると、保険料は安くなるのです。
反対に免責金額を低く設定した場合は、保険料が高くなります。
保険会社によって免責金額をつけることで抑えられる保険料の額は変わってきます。
あくまで目安ですが、免責金額を10万円付けたとすると、年間3千円~5千円ほど安く抑えることが出来るといった感覚です。
高すぎる免責金額のデメリット
火災保険は自然災害全般をカバーできます。
しかしその自然災害はいつ発生するかはわかりません。
火災保険加入してから一度も損害が出ていない場合もあれば、年に数回保険請求が必要になる場合もあります。
災害が一切起こらない場合、免責金額を設定し保険料を安くするのが得にはなりますが、災害が起こった場合はその修理費などはおのずと自己負担になってきます。
一方で免責なしのまま契約して災害が一切起こらなかった場合は、保険料を余分に払ってしまうことにもなりかねません。
自分にとってどちらが良いのかは、両方のリスクを考え自分で判断するしかありません。
ただ自然災害がいつ起こるかわからないのと同様に、いつ保険金が必要になるのかも分かりません。
保険料が安くなるのも良いですが、もしもの時をしっかりカバーできるような契約が必要です。
免責金額方式の種類
免責金額設定の種類には主に2種類あるので、それぞれご紹介します。
- 保険金が受け取れるような事故が起きた時でも、契約者が自己負担しなければならない金額のこと。
- 一定の損害額が超えたら全額が支払われる金額のこと。
免責方式(エクセス方式) 免責金額 1万円 |
フランチャイズ方式 免責金額20万円 |
|
1万円の損害 | 0円 (全額自己負担) |
0円 (全額自己負担) |
10万円の損害 | 9万円 (1万円自己負担) |
0円 (全額自己負担) |
30万円の損害 | 29万円 (1万円自己負担) |
30万円 (自己負担額0円) |
免責金額方式の設定は各保険会社によって異なるため、ご自身が加入している火災保険を確認してみましょう。
実際にどれくらい安くなるかの試算をしてみよう
今回、ソニー損保のホームページより、以下の条件で試算を行いました。
建物:一戸建て
所在地:神奈川県
築年数:築7年~10年未満
延床面積:80.00㎡
建物の構造:木造
基本補償:火災、落雷・破裂・爆発、水災、水漏れ、外部からの物体の衝突など、盗難
保険期間:5年
支払方法:年払い
地震保険無し
免責金額 | 0円 | 3万円 | 5万円 | 10万円 |
保険料合計 | 18,963円/年 | 17,429円/年 | 16,930円/年 | 15,854円/年 |
免責金額が0円と10万円の保険料合計を比べると、年間約3000円ほど安くなるのが分かります。
「たかが3000円?」と思うかもしれませんが、保険料の支払いが20年、30年と続くと大きな出費となります。
一度、ご自身が加入している火災保険を見直してみることをオススメします。
多くの人は火災保険の保険金をもらわない
でも、もしもの事故があった時が怖いのよね~
しかし、実際そのような事故が起こる確率は小さいことが分かっています。
では、実際にどのくらいの人が火災保険による保険金をもらっているかのデータを見てみましょう。
PR Times は火災保険の加入者がどのくらいの割合で保険金を受け取っているかの調査を発表しています。
■調査概要
アンケート内容:火災保険の加入状況と保険金申請の経験に関するアンケート
調査:2020年9月~10月5日
調査対象:20歳~59歳の男女2405人(内訳:男性1070人・女性1335人)
調査エリア:全国
<PR Times より引用>
こちらの調査では、火災保険加入者の15%しか保険金を受け取っておらず、85%もの加入者が保険金を受け取ることなく保険期間を終えています。
このデータから、保険期間中に保険金を受け取る確率は低く、保険料は可能な限り低くしても良いと言えるでしょう。
免責金額設定の注意点
免責金額設定においての注意点をまとめました。
- 自分が支払い可能な額で免責金額を設定する
例)もしもの時に10万円を出費しても、家計が耐えられるかどうか - 災害リスクをよく考えて免責金額を設定する
例)海や川の近くの地域の場合、水害の補償を充実させるために自己負担額を低くする
例)マンションの上層階の場合、水災の補償を充実させる必要はないが、吹き抜ける風による風災に備えたほうが良い
自分が支払い可能な額で免責金額を設定する
免責金額を設定する場合は自分が支払い可能な金額を設定するようにしましょう。
免責金額内での損害の場合自己負担になりますが、免責金額を高くするとおのずと修理費などが自己負担になる可能性が高くなり、自己負担の金額も増えます。
免責金額をあまりに高く設定してしまうと、肝心な時に保険料が受け取れない場合もあります。
また損害額が大きく修理費が賄えないなんてことにもなりかねません。
免責金額を設定する際にはもしもの時に家計が耐えられるのかどうか、お金に余裕があるのかを1度考えておくようにしましょう。
災害リスクをよく考えて免責金額を設定する
免責金額を設定する際には建物の災害リスクも考えておくと良いでしょう。
災害リスクが低い立地であれば免責金額を上げたり、災害時に確実に保険が下りるように免責をなくしたりできます。
火災保険は火事だけでなく様々な自然災害にも対応可能です。
洪水や雪害などが起こりやすい地域に立地している場合は特に注意しておきましょう。
まとめ
今回の記事についてまとめてみました。
- 火災保険における免責金額とは、自己負担額のこと
- 火災保険における免責とは、火災保険会社が保険金を支払う責任を免れること
- 免責金額を上げれば、保険料を安く抑えることができる
- 免責金額方式や設定は各保険会社によって異なるため、確認が必要
- 火災保険に加入している多くの人は保険金を請求することなく、保険期間を終えている
- 無理に免責金額を上げず、お住まいの災害リスクに合わせて設定すべき